スキルフルなラップとストリートでの経験を背景にしたリアルなリリックが魅力の、“Eric.b.jr(エリックビージュニア)”。
若くしてシーンの注目を浴びたタイミングでの逮捕から、少年院での1年の空白期間。
出てきてからは精力的な活動で脚光を浴び、あこがれのラッパー達から次々とオファーを受け夢を叶えていきました。
この記事ではそんなEric.b.jrの経歴とプロフィール、気になるアレコレや人気曲まで紹介していきます。
「悪餓鬼」と呼ばれつづけた少年時代からいかにして人気ラッパーになったのか? Eric.b.jrについて知りたい方はぜひチェックしてみて下さい。

目次
Eric.b.jrとは?
プロフィール
アーティスト名(読み方) | Eric.b.jr(エリックビージュニア) |
本名 | 非公表 |
年齢(生年月日) | 22歳(2002年12月17日生まれ) |
出身地 | 大阪府東淀川区 |
所属レーベル | - |
Eric.b.jrは2002年12月17日生まれの現在22歳のラッパーです。
ナイジェリア人の父と、日本と韓国のハーフの母の間に生まれ、大阪府東淀川区で育ちました。
16歳の頃に出したEP「悪餓鬼」でシーンの注目を集め、2020年に客演で参加した¥ellow Bucksの「Yessir」でブレイク。
ストリート育ちの環境から若くして成功を収め、現在ではシーンの中心を担うラッパーの一人となりました。
出身地
曲のなかで大阪府東淀川区=EASTと呼ぶEric.b.jrは、大阪府東淀川区上新庄にある集合住宅で育ちました。
新幹線が止まる「新大阪駅」まで自転車で行ける場所にあり、住宅街が広がっているベッドタウンといった地域です。
淀川にほど近く、Eric.b.jrも淀川沿いの河川敷を溜まり場としていました。
駅近くには飲み屋も多く、周りの地域に比べると治安もあまり良くないようです。
中学生でも入れる居酒屋があり、Eric.b.jrも中1の頃から飲んでいたそうです。
家族構成
両親はEric.b.jrが幼いときに離婚したので、家族は母親と3つ上の姉の3人家族です。
父親と一緒に住んだ記憶もあまり無いそうです。
お婆ちゃん子だったEric.b.jrは近所に住むお婆ちゃんの家で過ごすことが多く、お婆ちゃんが実質的な「お母さん」のような存在だったそうです。
お婆ちゃんは妹(Eric.b.jrの大叔母)と暮らしており、その家で3人で過ごす時間が長かったよう。
身長
Eric.b.jrの身長は179cmです。
すらっとしているのでそれほど背が高く見えませんが、なかなかの長身ですね。

仲の良いラッパー
AK-69
日本を代表するラッパーのひとりである“AK-69(エーケーシックスティーナイン)”。
Eric.b.jrとは2回りは年が離れていますが、お互いのライブに行き来したり、一緒にご飯に行ったりするなど親交があります。
そんなAK-69からはサプライズで1カラット以上あるダイヤのピアスをプレゼントされたこともありました。
↓AK-69からプレゼントされたピアス

さすがAK-69としか言いようがないプレゼントに、Eric.b.jrもかなり驚いたそうです。
FAT D
Eric.b.jrの盟友的存在のラッパー“FAT D(ファット・ディー)”。
もともと一緒につるんでいた地元の友達で、Eric.b.jrにスタジオに連れて行かれたのをきっかけにラップを始めました。
そんなFAT Dも今ではアップカミングなラッパーとして注目される存在にまで成長しました。
REAL-T
大阪府生野区出身のラッパー“REAL-T(リアルティー)”。
音楽を始める前から親交があったEric.b.jrをスタジオに紹介してくれたのが、REAL-Tでした。

そこが大阪にある“Fezbeatz”が運営するスタジオ。Eric.b.jrがRECの際にいつも使っているスタジオです。
Fezbeatz=Eric.b.jrやREAL-T、Jin DoggやRed Eye、阿修羅MICなど数々の関西のラッパーを手がけるプロデューサー/ビートメイカー。
当然共演することも多く、数々の楽曲を制作しています。
影響を受けたラッパー
BADHOP
Eric.b.jrが初めてあこがれたラッパーが“BADHOP(バッドホップ)”でした。
Eric.b.jrがラップを始めた中学生の頃は、まさに空前の「MCバトルブーム」ど真ん中の時期。
T-PablowやYZERRのMCバトルでの活躍や、のちにBADHOPとして飛躍していく様をリアルタイムで見て大いに影響を受けたと言います。
そんな憧れのBADHOPのラストアルバムにBenjazzyの楽曲に客演として参加。
ここで生まれたBenjazzyとの縁から、今度は自らの楽曲に客演として参加してもらう程の関係性になりました。
ANARCHY
「世代のヒーロー的存在」としてあこがれたのがBADHOPなら、もっとも衝撃を受けたラッパーが“ANARCHY(アナーキー)”でした。
自分と同じような環境で育った経験を歌ったANARCHYの楽曲の数々。なかでも刺さったのは、“SO WHAT?”のこんなパンチラインです。
全然聞こえない君のディス 俺は自分で選んだ道にキス
“SO WHAT?”より
のちにANARCHY主催のレーベルから1stアルバムを出すことになるのですが、その経緯は経歴の項目で解説します。
タトゥーについて
Eric.b.jrの全身に入っているタトゥー。
「適当にヒマだったら入れる」というノリで入れていき、今では上半身に入れるところが無いほどになりました。
そんなEric.b.jrが初めて入れたタトゥーがこちら↓

左腕に入っている「メリケンサック」のタトゥーです。このタトゥーは実家の近所のスタジオで入れました。
メリケンサックにハマっている時期があり、キーホルダーとしていつも付けるほど好きだったとか。
この先はまだタトゥーが入っていない「足の部分」にどんどん入れていきたいそうです。
経歴

悪餓鬼と呼ばれた小学生時代
Eric.b.jrは幼少期からヤンチャで、身内や周りからよく「悪餓鬼」と呼ばれるような子供でした。
1stEPの「悪餓鬼」というタイトルはここから付けました。
幼稚園児の時には、お婆ちゃんのジュエリーを全て身につけて遊び行って怒られたりしていました。
小学校に入るとそのヤンチャさはますますエスカレート。
友達を共謀して2、3箇所同時に消化器をぶちまけて騒ぎを起こすという遊びをしたこともあるそうです。
Eric.b.jrはこれを「同時多発テロを起こしてやった」と語っています。
初めて警察に捕まったのも小学6年の時でした。
夜中に中学校に忍びこんで教室を荒らしていたのがバレて、パトカーで連行され警察署に連れて行かれたそうです。
ただこんな悪さをするようになったのには、「見た目が他の子とは違うという事も影響していると思う」とEric.b.jrは振り返っています。
周りからの視線が気になり、それを跳ねのけるために威嚇する必要があったとの事です。
学校に通わず非行に走った中学時代

中学に入るとマイノリティとしての疎外感が一層強くなり、学校にもまともに通わなくなりました。
ちゃんと出来る周りの普通の子たちとの違いを感じ、孤独感を感じていたそうです。
昔から「お金を稼ぎたい」という願望が強かったというEric.b.jr。年齢的にバイトもできないので、非行の道へ進むことになります。
中学に入ってからは、地元の友達だけでなく大阪全体の同世代と繋がるようになります。
「大阪12の代」という大阪中のヤンチャな中学1年が入るSNSグループがあり、その規模は2,300人も集まるほど大きなものだったそうです。

ラップとの出会い
同世代の友達と悪さをする一方、ラップと出会ったのも中学の時でした。
「高校生ラップ選手権」や「フリースタイルダンジョン」などMCバトルが盛り上がっている時期で、Eric.b.jrもこれに影響されラップを始めました。
14歳の頃には音源を作りはじめ、友達と遊んでいる時などに披露していました。
Eric.b.jrの初期の代表曲「悪餓鬼」のリリースは16歳の時ですが、15歳の頃にはもう出来ていたそうです。
「悪餓鬼」のヒットから逮捕まで
2019年7月にYouTubeにあげた「悪餓鬼」のMVがバズり、シーンにセンセーションを与えたEric.b.jr。
1st EP「悪我鬼」、2nd EP「WARUGAKI ll」と着実にリリースを重ねていき、2020年8月にリリースされた¥ellow Bucksとのコラボ曲"Yessir"の大ヒットをきっかけにブレイクを掴みかけるところまで来ました。
が、ちょうどそのタイミングでEric.b.jrは捕まり、兵庫県加古川市にある「加古川学園」という少年院に約1年間入ることになりました。
加古川学園は家庭裁判所で「長期処遇」の審判を受けた15歳〜19歳の少年が収容される、西日本最大級の少年院です。ANARCHYの楽曲“K.I.N.G.”で「兵庫の山奥で更正プログラム」と歌詞にも出てきた、ANARCHYが入ったのと同じ少年院です。
"Yessir"の大ヒットを見届ける前に少年院に収容されたEric.b.jrは、後から入ってきた人達にその事を知らされることに。
自分のことを知っている人が大勢いることに驚いたそうです。
出所から1stアルバムリリースまで
空白の1年を経て少年院から出てきたEric.b.jrは、気持ちを新たにスタジオに通い楽曲制作に打ち込みます。
16歳頃から「悪いことを続けても上手くいかなくなる。絶対不可能だ」と感じ、このタイミングで「ラッパーとして生きていくしかない」と決意を固めたそうです。
ミックステープ「Still Have Bullet」、REAL-TとのEP「DIRTY WEST SIDE」と精力的なリリースでシーンを席巻。
2023年3月には待望の1stアルバム「KING BORN」を、憧れのラッパーであるANARCHYが主宰するレーベル〈THE NEVER SURRENDERS〉からリリースしました。
アルバムの契約金は1000万円でした。
前から「ANARCHYは絶対に俺のこと好きやろ」などと友人に話していたというEric.b.jr。アルバムリリースまでの経緯は以下のようなものでした。
- 前からフォローしていたANARCHYのSNSからある日フォローが返ってきて、DMで「お前ヤバすぎ」というメッセージと電話番号が送られてきた。
- 初めて会うことになり、そこで「お前はラッパーになりたい?不良になりたい?どっち?」と聞かれ、「僕はラッパーになりたい」と答えた。
- 「それなら一緒にやろうぜ」とアルバム制作が決まった。
こんな夢のような展開で、ずっと憧れていたラッパーからの元から1stアルバムはリリースされました。
人気曲・おすすめ曲
悪餓鬼
16歳にしてEric.b.jrの名を世に知らしめた楽曲。
不穏なトラップビートに“俺が悪餓鬼心得ろ”から始まる中毒性の高いフックがクセになりますね。
「当時の年齢でこれを書けたのは、今の自分からもヤバいと思う」とEric.b.jrも自画自賛する“神に睨まれ進むこの迷路”のようなパンチラインに溢れる、リリシストとしての彼の才能が垣間見れる1曲です。
Dream Chase
出所してから本気でラッパーとしての夢を追いかけ出したEric.b.jrの不安や葛藤が歌われた1曲。
キレイな高音で歌い上げたフックの気持ちよさも魅力的。
“ガスが止まり 大人達 シャワーより冷たい 違い感じても子どもはシー 雄弁die 沈黙は金”。自らの経験を見事に歌詞に落とし込むスキルとセンス溢れるこういった一節が、曲に厚みを持たせていますね。
Wifey
Eric.b.jrには珍しいど直球なラプソング。
ただ甘いだけでなくEric.B.Jrならではのエゴイスティックな歌詞が入ってくるのも味になっていますね。
イケイケな楽曲が多い彼のまた違った魅力が詰まった1曲です。
BAD HOP - Shoot My Shot feat. Benjazzy, Eric.B.Jr & 漢a.k.a. GAMI
憧れていたBADHOPのラストアルバムに参加したEric.b.jr。
攻撃的なドリルビートに畳みかけるBenjazzyの鬼気迫るラップ。
新旧のストリートスタイルを代表するEric.B.Jrと漢a.k.a. GAMIの魅力も存分に発揮されています。
まとめ
この記事ではラッパーEric.B.Jrについて紹介しました。
ストリートライフからのし上がって、憧れのラッパー達との共演を次々と叶えていく様が印象的でしたね。
これからもそのラップスキルとリリシストとしての才能を生かして活躍し続けていくのでしょう。