配信サービス「Abema(アベマ)」にて放送されているドラマ、「警視庁麻薬取締課MOGURA」。
鈴木おさむが3年前に漢 a.k.a. GAMIから聞いた「警察官の中からラップが上手いメンバーを選抜して、ラッパーたちの間に潜り込ませていた」という実話をもとにしたストーリーを、数多くの現役ラッパーが演じて話題を集めています。
なかでも視聴者が驚いたのは、主人公が潜入したヒップホップグループ「9門」が明らかに「MSC」という実在するグループをモデルにしているという点でした。
この記事では9門とMSCの共通点を中心に、ドラマの見どころやこだわったポイント、驚くべきエピソードについて紹介していきます。
これを知ってからドラマを見た方がより楽しめますので、ぜひチェックしてみてください!
ABEMAプレミアムでは「MOGURA」など豊富なHIPHOPコンテンツを配信中!
〈月額580円の広告つきプラン新登場!〉
目次
「MORURA」の見どころ・こだわり

「警視庁麻薬取締課MOGURA」が目指したのは、ただ面白いだけではなく、本物の「ヒップホップ」を描いたドラマにすることでした。
「ヒップホップ」を題材としたフィクションは、一歩間違えればダサくなる難しさが伴います。
それを避けるために制作陣がこだわったポイントがいくつもありました。
- ヒップホップのMVを制作している人が監督をつとめる
- 自分がするラップはすべてラッパー自らが歌詞を書く
- ラッパー本人のリアルから大きく離れないような設定にする
ヒップホップのMVを撮っている人が監督を担当
このドラマは志真健太郎と南虎我という2人の監督が、全6話のうち3話ずつ担当して制作されました。
2人に共通しているのは、多くのラッパーのMVを手がけてきたという点。もともとヘッズでヒップホップというものへの理解があるという点でした。
志真健太郎監督は映画やドラマも撮りながら、般若やGADOROの多くの楽曲のMVを撮ってきた監督です。
一方の南虎我はアーティストのMVをメインに撮ってきた映像監督で、これまでに数々の有名なラッパーのMVを手がけてきた人物です。
ヒップホップへの理解があって、これまでにラッパーと仕事をしてきた監督が撮っている。
この点がダサくならずにヒップホップの世界を描けている理由のひとつです。
自分がするラップはラッパー自らが歌詞を書いている
ドラマ内で出てくるラップのシーン。
これらは全て演じるラッパーが自らの歌詞を書いています。
もちろんビートに合わせてどういうフロウ(歌い回し)にするのかもラッパーが自らが決めています。
- 1話で伊弉諾がクラブのステージでしたラップ
- フリースタイルバトルのシーンで各々がしたラップ
- Mummy-D演じるカタビラが物語を語るラップ
これらドラマ内で出てくるものは全て、ラッパー本人が作った歌詞でラップをしています。
ラップのことは本職のラッパーにすべて任せる。
これもリアルなヒップホップを表現するために採られた手法です。
ラッパー本人のリアルから離れない設定にする
「当て書きしてんな」。般若は初めて脚本を見たときに、こう感じたそうです。
それぐらいラッパーが演じるそれぞれの役の設定が、ラッパー本人とかぶる点が多かったからでした。
Haruの設定がCYBER RUI本人そのままだったのはその最たるもので、他のラッパーたちも本人の要素を折り込んだ設定になっていますよね。
フィクションとはいえ、本物のラッパーが架空のラッパーを演じる。
想像以上にむずかしく、変な演技をした時にはダサく写ってしまいます。
それを避けるためもあって、かけ離れた設定にはせず、本人のリアルを上手く入れ込んでキャラクターを作り上げました。
ドラマのロケ地となった場所は?
ドラマの主な舞台のひとつ、クラブ「PATIOS(パティオス)」。焼川市にあるクラブで、9門とライバルグループREDHEADが定期的にライブをしている場所です。
そんな「クラブパティオス」でのシーンは、実在するクラブを借りて撮影されています。
そのクラブとは、茨城県古河市にあるクラブ「ARADDIN(アラジン)」です。
北関東最大級のキャパシティをほこる2フロアで最大500名を収容するクラブで、ドラマに出演しているJIn DogやRed Eyeもライブを行ったことがある場所です。
9門のモデルとなったMSCとは?
9門の「リアルしか歌わない」「リリックで言ったことは絶対に実行する」というルール。
これはMSC(エム・エス・シー)という、ドラマの原案者でもある“漢 a.k.a. GAMI”が所属するヒップホップグループがモデルであるとされています。
9門という名前も、漢 a.k.a. GAMIが代表をつとめていた「鎖(9SARI)グループ」をかけて付けたと推察されます。
9SARIグループ=西早稲田にあるスタジオ兼事務所。カフェスペースもあり、一般の人も遊びに行くことが出来ます。
そんなMSCが課したルールは以下のようなものでした。
- ラップは「リアル」でなければならない。
- 事実と違うことをラップしてはいけない。
- 勢い余ってリアルではないことを言ってしまっても、1週間以内に実行できればOK
まさに9門のルールそのものですよね。9門の場合は、実行する期限が3日とより厳しいという違いはありますが。
それくらい自らが発する言葉には責任を持たなければいけない、という厳しい掟です。
恐ろしいのが3つ目の項目。このルールを守ろうとして、MSCのメンバーが敵対するグループのメンバーをナイフで刺すという有名な事件も起こりました。

漢 a.k.a. GAMIの著書「ヒップホップ・ドリーム」に詳細が語られているのですが、簡単にあらましを説明すると
- クラブイベント中にMSCのメンバーのDJ機材を、とあるグループのリーダーが酒をこぼして壊した。
- 相手側は弁償すると申し出たが、何日経っても何かと言い訳を言って弁償しなかった。
- MCバトルでMSCのPRIMALがトラブル相手と対戦し、バトル中に熱くなって「今度見かけたら刺すからな!」と発言してしまう。
- ルールを守るため、MSCのメンバー複数人で相手グループを襲撃。逃げ遅れた相手グループのメンバーのケツを刺した。
襲撃場所となったのは、今は閉店してしまった「池袋BED(ベッド)」という、当時のHIP HOPカルチャーの中心地となっていたクラブ前の路上でした。
↑襲撃現場となった路上。写真中央にあるグラフィティが描かれたシャッターの奥が池袋BEDの入り口です(クラブは地下1階)。
「ヒップホップ・ドリーム」内では具体的な名前は書かれていないのですが、相手のグループは“RUFF RHYMERS(ラフライマーズ)”だと特定されています。
機材を壊したのもMCバトルでPRIMALと対戦したのも、RUFF RHYMERSのリーダーである“KENSHIN(ケンシン)”でした。
KENSHIN(ケンシン)は「B-Boy Park MC Battle」で、99年2位、00年3位、01年3位となったMCバトル黎明期に有名だったラッパーでもあります。YouTubeにKREVAや般若との試合の映像が残っていますので、興味がある方はチェックしてみて下さい。
襲撃したのは、RUFF RHYMERSがライブを終え出てきたところでした。刺されたのはKENSHIN以外のメンバーだったので、そのメンバーはとんだとばっちりを受けたという事ですね。
ドラマの第2話で9門も過去にまったく同じ事件を起こしたとありました。9門がMSCをモデルにしているのは間違いないでしょう。
「口にしたことはリアルにしなければならない」
IZAはこれからどうするのでしょうか? これからの展開が楽しみですね。
無料でドラマを見るには
このドラマはAbemaにて、毎週木曜23:00〜放映されています。リアルタイム視聴ができなかった際に、無料で見逃し配信で見たい方もいると思います。
全話Abemaにて全編視聴できますので、ご覧になりたい方はAbema公式サイトからどうぞ。
まとめ
この記事では、ドラマ「警視庁麻薬取締課MOGURA」について解説してきました。
こんな座組みのドラマが作られるなんて、嬉しい時代になりましたね。
他にも日本のヒップホップに関する記事を色々と出しているので、興味のあるものからチェックしてもらえると嬉しいです!