「ラップスタア2024」で視聴者に強烈なインパクトを残した、ラッパーの“TOKYO世界(トウキョウセカイ)”。
ネガティブな感情を吐露しながらも随所に差し込まれるユーモアセンスが光るリリック、独特な声質をいかした多彩なフロウが審査員からも高く評価され、上位8名のCAMP STAGEまで勝ち進みました。
2024年8月には、ラッパーの“シラフ”とビートメイカーの“SKINNY YMT”と共にヒップホップクルー“Legal nerd boys”を結成したことでも話題になりました。
この記事では、そんな注目のラッパー“TOKYO世界”について紹介していきます。
目次
TOKYO世界とは
プロフィール
アーティスト名 | TOKYO世界 |
年齢 | 23歳 |
本名 | 非公開 |
身長 | 166cm |
出身地 | 栃木県那須烏山市 |
最終学歴 | 法政大学(卒業) |
所属レーベル | - |
TOKYO世界は栃木県出身の現在23歳のラッパーです。
高校卒業まで栃木県で過ごしたのちに大学進学のため上京し、現在もそのまま東京都杉並区高円寺に住んでいます。
生まれ育った栃木県烏山市は、栃木県の東端にある自然豊かな地域。
電車も2時間に1本しか無く、ICカードも使えないような田舎町よりも東京の方が好きで、出身地のことを「嫌な思い出の大半が残ってる嫌いな土地」だと語っています。
名前の由来
「現実逃避ができる“テーマパーク”のような音楽が作りたい」という思いから、はじめは「TOKYOランド」や「TOKYOシティ」という名前を考えましたが、既存のテーマパークの名前に近すぎるということで「TOKYO世界」としました。
海外のローファイ・ヒップホップのプロデューサーが「英語+漢字」の組み合わせで名前をよく付けていたのもヒントになったそうです。
家族構成
TOKYO世界の家族は、両親と子1人の3人家族です。
ラップスタアのHOOD STAGEでも語っていたように、運動や勉強といった“既存のものさし”でしか測ってこない母親からは認められたことが無く、そんな母親を見返すため、母親から逃れるためというのも、アーティスト活動をしている動機になっているようです。
父親は家族のなかのユーモア担当のような存在で、そんな父親から「ふざけてもいいんだ」という影響を受けたそうです。
ヒップホップとの出会いとラップを始めたきっかけ
ヒップホップとの出会い
TOKYO世界がヒップホップに出会ったのは、高校生の時。
友達から「高校生ラップ選手権」を見せられ、強い立場の人間に弱い者が歯向かっている姿に衝撃を受け、以降ヒップホップを聞くようになります。
トラヴィス・スコット、ポスト・マローン、リル・ウージー・ヴァード、ヤング・サグ、ジョージなどを好んで聞き、その反骨精神や言いたいことを言っているスタイルにますますヒップホップにハマっていきました。
日本のラッパーだと、“BIM”や“PUNPEE”のような異世界に連れて行ってくれるような感覚を与えてくれるラッパーが好きでした。
ラップを始めたきっかけ
ラップを始めたのは、大学1年生の時。
大学のアカペラサークルに入ったTOKYO世界は、同じサークルの同級生の子を好きになり見事付き合う事になったものの、わずか2週間でフラれてしまいます。
フラれた理由は「他の好きな人が出来た」というものでした。
その絶望と悔しさから、“相手を見返してやろう”という思いと、“自分を治癒する”という目的のためにラップを始めました。
自分のコンプレックスを刺激してくる“大学のキラキラしている人たち”全員を見返してやろう、この状況を全部ひっくり返してやろうという思いもあったそうです。
そして「ラップスタア2020」に応募するために初めてリリックを書くことに。
それ以降曲をつくっては“Soundcloud(サウンドクラウド)”にUPするという日々を送るようになりました。
コンプレックスだらけだった学生時代
「恨み辛み妬み嫉み それが俺のBase」と曲でも言っているとおり、辛い過去の経験が生んだ“負”の感情を吐露する曲が多いTOKYO世界。
取り組んだものがことごとく上手くいかない学生生活を送ったようです。
中3になっても身長が148cmまでしか伸びず、それを理由にバカにされたりイジメを受ける。
体が小さい上に運動神経も低かったために、スポーツを小〜高校まで12年間取り組むも上手くいかず。
小1〜中3までの9年間は剣道に取り組むも一向に勝てず、高校からマンガ「ハイキュー‼︎」にあこがれてバレー部に入り“リベロ”のポジションをつとめるも、上手くこなせず他部員から「お前何が出来るんだよ」と責められトラウマになったそうです。
大学進学率が低い高校から一生懸命勉強し法政大学に入るも、周囲の頭が良く裕福で就活も上手くいくような学生達を見て劣等感を覚える。
大学4年になり就活をするも上手くいかず、1年間休学することにします。
休学中に“CGデザイナー”を目指し専門学校に入学するも、同級生達が次々と就職を決めていくなか、初歩的なステージでつまずき挫折。
ゲーム作りがしたいと思って志望しましたが、自分なりに一生懸命やっても技術を上手く習得できなかったそうです。
大学に復学してもう一度就活に挑むも、就職が決まらないまま卒業。
↑色々なものに一生懸命取り組んでも結果が出ないことが続き、「何をやっても上手くいかない」と劣等感をつのらせていったようです。
影響を受けたアーティスト
「ラップスタア2024」のサイファーステージで、昭和カルチャーへの愛を歌ったリリックで話題となったTOKYO世界。
「昭和歌謡がbro」で始まり、ラストは今も歌い継がれる名曲“悲しくてやりきれない”のラインで締めました。
昭和の楽曲、アイドルが好きだと公言するTOKYO世界がもっとも影響を受けたと語るのが、1978年にデビューした“サザンオールスターズ”です。
“サザンオールスターズ”を聞くようになったキッカケは、大学時代にフラれた子の親がサザンファンだったことでした。いざ聞いてみるとハマって、そこから昭和の曲を掘っていくようになったそうです。歌い方もサザンの桑田佳祐に強く影響を受けています。
好きなラッパーとしてあげているのは、日本にルーツを持つR&Bシンガー、ラッパーの“Joji(ジョージ)”です。
Jojiは今大注目のレーベル“88rising”に所属し、アジア系初のBillboard Top R&B/Hip Hop Albumsチャートで1位を獲得したラッパーです。
日本のラッパーだと、“LEX”の歌い方に強く影響を受けました。
自分のように異質な声を持っていて、かつ独特の歌い方をする点に影響を受けたそうです。
作りたい音楽とは?
TOKYO世界にとって音楽は、辛い現実から“逃避”されてくれるものでした。
音楽が心の“お守り”のようになっていたそうです。
そんなTOKYO世界が作りたい音楽は、自分みたいな人たちの“逃げ場になる音楽”です。
「応援ソングとまでは言わないけど、ちょっと逃避できて、でもワクワク出来る音楽を作りたい」と語っています。
聞いた人が、そんなに頑張って根詰めなくなったいい、逃げてもいいと思えるような楽曲を作ることが、音楽をやる理由だそうです。
おすすめ曲
Sunny Day
D3adStockの“Rainy Day”リリース日と同じ日という、粋なタイミングでデジタルリリースされた新曲。
あわせて読みたい→D3adStockのプロフィールや経歴、プロデュースした人気曲まで紹介!
「ラップスタア2024」後までの全ての物語を回収するようなリリックに、視聴者なら思わずグッときてしまうことでしょう。
何ができんだよ言われた過去の俺 もう少しだけ待ってて TOKYO世界が伝えに行くよバスで
“Sunny Day”より
こんな感動的なラインや持ち味のユーモラスな表現まで満載された、曲名にふさわしいTOKYO世界的ポジティブソング。
小中高大ずっと伏目がちだけど 2024は節目ガチ 母は少しだけちょっと嬉しいらしい
“Sunny Day”より
上手い表現から少し感動的に締めるこのラインも見事でしたね。
TOKYO世界 - nothing
“鬼滅の刃”からサンプリングされた冒頭の音声。TOKYO世界と母親の関係性というバックグラウンド込みで聞くと、彼の複雑な思いが伝わってきますね。
そこから始まる楽曲。自分にしか作れないオリジナルな世界観を持っていることが、アーティストとしてどれだけ凄いことか。
それを再確認させてくれるような楽曲でした。
TOKYO世界 - dakisimete
大学時代に制作し、本人的にも自信があるという1曲。
人生に迷っている時期に、自転車で多摩川沿いを走っていて、ふと疲れて休憩していた時に浮かんだ心情をストレートに吐露した内容だそうです。
その当時の切実すぎる心情が痛いほど伝わってるリリックと歌い声が印象的な楽曲に仕上がっています。
TOKYO世界 - syuzinkou
1st EP「DREAM HORIZON」にも収録されている、TOKYO世界の人気曲。
TOKYO世界が爽快に歌いあげる、非常にキャッチーで楽しくなるような1曲です。
まとめ
この記事では、注目のラッパーTOKYO世界について紹介してきました。
まだまだキャリアも浅いようですし、これからどんどん変化していってどんなアーティストになるのか楽しみですね!
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